2112月
死者の魔法:「このお茶グルタミン酸豊富な味でおいしいでしょ」
ウーロン茶、紅茶、豆茶、番茶、玄米茶、謎の中国茶・・とあるのに何故か煎茶が無いので買ってきた。さっそく入れた。開けたては安くても良い香りがする。
煎茶の味をみる時、「このお茶グルタミン酸豊富な味でおいしいでしょ」と繰り返してた叔母を思い出す。「うまみがあっておいしいでしょ」と言いたかったんだと思う。未だに私の中で彼女は「グルタミン酸のお茶の人」だ。
その会話をした時、彼女は余命?ヶ月。家族と過ごすため自宅に帰ってきていた。年末だったか。私とは最後の会話になった。ありふれた会話のネタを提供した100gで400円のお茶は、結果的に良い仕事をした。その後2ヶ月ほどして亡くなった彼女は、私の中では永遠に「グルタミン酸のお茶の人」だ。
彼女とは年に1回会えば良い方だったし、命日も覚えていない。今の自分の世界にほぼ関わりが無いから、その死から衝撃を受けたりもしなかった*1。基本的に私は「薄情者」だ。それでも「グルタミン酸のお茶の人」というキーワード?は彼女に最初に紐付けされ、ゆえに最初に思い出され、意識という舞台へと登場し続けている。煎茶の封を切る度に思い出すだろう。
そして舞台は旅館で働く従弟や、婚約したらしい従妹へと進む。気になって母に確認してみたりする。それほど強い関係は無いのに、気にしている。薄情者に最後にかけた、言葉の魔法。
今日買ったお茶は100g200円。渋みが薄いかも。
- 良い人が地球から一人居なくなったことを残念には思ったが。[本文へ]
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